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2003年10月20日
パートタイム労働者の取り扱い

 パートタイム労働者といっても、就労時間がいわゆる正社員とほとんど同じで勤務していても、パートと呼ばれている人もいて、正社員との境目がますますなくなってきています。  法律上(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第2条)では、「通常の労働者と比し、所定労働時間の短い者」と定義されていますがその勤務時間等の内容は様々です。パート労働法以外の法律上の取り扱いはさまざまですので一概に言えませんが、一つの基準として、週の所定労働時が、30時間と20時間という区切りがあります。  ただ、勤務時間が短いとはいえ募集・採用・就労にあっては、その手続が正社員とほぼ同じことが必要な場合が多く注意が必要になります。  労働条件の明示・雇用期間の定め(定めない場合は期間雇用となりません)などは必ず行わなければなりません。また、各法律も正社員とパートの区別のあるなしがありますので、一つの事業所の中にいろいろな雇用形態の従業員が混在している場合は、それぞれの雇用形態に応じたルールを定めておいたほうがいいでしょう。  具体的には、それぞれの雇用形態ごとに就業規則を定めるか、一つの就業規則で必要事項ごとに適用範囲を区分するかです。正社員にだけ就業規則を作り適用範囲を定めてないと、パートであってもほとんどの部分が適用になってしまいます。何も定めていないと法律で除外されている(たとえば社会保険・労働保険の適用範囲)ほかは適用(たとえば育児介護休業などが)になってしまいます。また雇用形態ごとに別々に就業規則を作成していても、労働基準法上は一つの就業規則となりますので、作成した時期が離れていてもすべて届出が必要になります。  最近はサービス業を中心にパート社員の構成比率が年々上昇していますが、正社員を廃止して、「全員時間給社員にしてしまう」という発想もあります。例えば、月給30万円の正社員に時給換算して見ますと、月平均勤務日数が20.4日(完全週休2日制の場合)で、1日の所定労働時間を8時間とすると、30万円÷20.4÷8=1,838円(賞与除く)になります。一般事務の派遣料が1時間当たり1,700円~1,800円ですから、果たして高いのか安いのか(勿論法定福利費等は除いています)、その判断は分かれると思いますが、パートがいいのか正社員がいいのかあるいは違いがないのか、雇用をしっかり守れば案外時給社員もよろしいのではないでしょうか。

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