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2003年12月20日
労働基準法の改正

 平成16年1月1日付で改正労働基準法が施行されます(公布は平成15年7月4日)。そのなかで、すべての会社に関係のある事項は解雇に関する部分の改正です(労基法第18条の2)。  『解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。』という条文が新設されました。これは、解雇をめぐる裁判で出された判決文をそのまま条文にしただけですが、従来から『解雇権濫用法理』として、行われた解雇が正当かどうかの判断に使われてきました。それが、正式に労働関係の法律(労働基準法)に条文として記載されたことは大きな意味を持ちます。   それではその対応はどのようにすればよいのか、各事例に基づいて解説します。  まず採用時から見ていきますと、試用期間中に本採用にするかどうかの判断をし、会社が不適格と判断すれば採用を取り消すことなります。試用期間中であっても採用から14日経過してもいなくても、採用を取り消すという理由でしても「解雇」となります。また、期間の定めのない雇用でも、有期雇用であっても更新を繰り返していれば、一般解雇・整理解雇・懲戒解雇のいずれのときでも、理由がはっきり(つまり就業規則等の文書で理由が明示されている)していなければなりません。勿論、それは以前から変わらないのですが、事業主も従業員も無制限に解雇できると考えておられる方がかなりおられました。しかし、昨今の社会経済状態から、解雇が社会問題化してきて、「解雇」はなかなか勝手にはできないと考える方が多くなってきています。  そこで、いずれのケースでも 1.理由がはっきりしていること 2.その具体的な理由が就業規則に記載されていること 3.従業員から解雇理由を記載した証明書を要求されたら、会社は発行しなければならないこと 4.具体的な理由は社会通念上合理的であること 5.「解雇」以前から手続きが段階を追って正当であること 等が要求されます。ですから、試用期間中または試用期間終了後の本採用取消の解雇・一般解雇・整理解雇・懲戒解雇のそれぞれに、その解雇理由を具体的に取り決め、就業規則に記載しなければなりません。  就業規則は事業主が作るものですから、具体的理由は何でもいいかというとそうではありません。そこは、上記「4」にあっていなければならないのです。  それでは、従業員が常時10人未満で就業規則を作成していない事業所はどうしたらいいのかといいますと、やはり作成しておいたほうがよいでしょう。労働基準法では、基本的に10人未満であれば作成しなくてもいいのではなく、10人以上いれば作成して届け出なければならないと規定されていますので、理想を言えば一人でもいれば作成しておくに越したことはありません。  就業規則の法的効力は、作成し従業員代表の意見を求め、全員に周知をすれば発効することになり、労働基準監督署に届け出ているかどうかは関係ありません。ただ、10人以上であれば届け出ないと罰則が科せられることになるだけです。(実際には先ず是正勧告が出るので、それに従わなければですが)  そのほか、労務管理上決めておくべきことがいろいろあり、問題が起こればそのつど決めていたのでは従業員の統一的な管理ができません。しかし、従業員の人数などによって決めておくべきことも必ずしも一定ではありません。従業員が少ないのに(例えば10人未満)高い費用を払って作るのはもったいない、とお考えの事業主さんも多いかと思いますが、従業員の人権意識の高まりとともに、従業員とトラブルが起きて、結局高い費用が必要になるケースが最近増えてきています。費用対効果を考えますと、決めるべきことは最初に決めておくことにより、手続きも取り決めに基づき進めていくほうが最終的には、安くつくことになります。  細かい点まで決める場合や、必要最低限でとどめておく場合など、事業主さんの希望や考え方、または従業員の規模別に就業規則例を用意していますので、当事務所にお気軽にご相談下さい。

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