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2012年07月20日
変な保険料額表

 毎年、3月の健康保険料率・介護保険料率・児童手当拠出金率(変更のない年もある)や、9月の厚生年金保険料率(平成29年9月までは毎年)の改定が行われます。

 その保険料率が改定されるたびに、会社で保険料の計算を行い給料から控除してもらうために、全国保険協会や日本年金機構から『健康保険・厚生年金保険の保険料額表』が発表されます。

 その『健康保険・厚生年金保険の保険料額表』をよくご覧いただきますと、平成18年4月から健康保険の保険料額表に、金額の低い方に4等級、高い方に4等級が新たに設置されているのをお気づきのことと思います。

 高い方の等級の新設の制度は従来からありました。

 『毎年3月31日における標準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の被保険者総数に占める割合が1.5%(平成18年改正以前は3%)を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の9月1日から、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる。』(健康保険法第4条第2項)

 物価上昇に伴う賃金の上昇に応じて、数年に1度、最高等級の新設がなされてきました。これは、物価上昇に伴う医療に係る保険点数の上昇に保険料収入の増大を図るためです。

 

 ところがバブル崩壊後、超長期にわたるデフレ下で賃金は上がらない状態が続く上に、比較的医療費のかかる高齢者数が徐々に増えるに伴って医療費が増大していった結果、保険財政が年々悪化するという悪循環が始まっています。

 従来は保険料率の引き上げで対応してきましたが、それでも医療費の増大に保険料収入の増加が追い付かない状態となってしまいました。

 そこで、平成18年に最高等級の上に、一気に4等級を新設し保険料の収入の大幅増が図られることになりました。

 

 それ以前から社会保険制度にパートも取り込んでいこうという議論があり、現在は労使双方の反対が厳しく議論だけで法案化は進んでいませんが、健康保険法の改正に合わせて加減の等級の4等級も新設されることになったわけです。

 

 現在の制度で法律上強制的に被保険者の適用になるのは、労働時間数及び勤務日数が、通常の労働者と比べて概ね4分の3以上の労働者とされています。週の所定労働時間が40時間(1日8時間として週5日勤務)として、週30時間(かつ週4日以上勤務)以上の勤務をしている者が対象となります。ただし、この規定は法律のどこを探してもなく、当時厚生省の健康保険課長の内部通達(内翰「ないかん」と言います)に依っています。つまり法的な根拠がない状態となっています。

 《通常行政通達は「次官」または「局長」の名で発出されるものが法的拘束力を持つといわれています。》

そこで、雇用保険法と同じく新たに保険適用の対象者に想定されているパートは、『週20時間以上勤務する者』と健康保険法の本則上に記載して法的拘束力を担保しようとしています。

 

 それでは、現在の強制加入の被保険者の等級の下限はいくらになるのでしょうか。例として、1日6時間・週5日勤務(週の所定労働時間数が30時間になります)場合を考えてみます。

現在の大阪府の最低賃金額は、786円で計算すると、

 786円 ☓ 6時間 ☓ 20.5日(土日祝のみ休日の場合の月平均勤務日数)

 = 96,678円

 交通費を考慮しない場合、第5等級の98,000円になります。

 

 そうすると、大阪府の場合、第4等級以下は存在しないことになります。ところが、私の経験上、第4等級88,000円の資格取得届を出して認められたことがあります。詳細はここでは記載できませんので、ご興味がおありの方は直接お問い合わせください。

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