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2013年07月20日
気がつけばブラック企業?

 世間では、主に残業代を支払わず長時間労働をさせる会社のことを『ブラック企業』と呼んでいます。いつごろから言われだしたか定かではありませんが、5~6年前には言われ始めていたようです。

 初期のころは、スキルの低い労働者(新規学卒者)でもこなせる不特定多数相手の営業の仕事などで、過大なノルマや長時間労働を強制し、常時求人を行い、大量採用し次々と離職者が出る企業のことを指していたようです。しかし、最近では一般的に労働関係法令やその他その業種に関係する法律を守らない経営者を中心にコンプライアンスの意識の低い会社もブラック企業と呼ばれる場合もあるようです。

 最近では、居酒屋の「和民」を展開するワタミ㈱がブラック企業と呼ばれて話題になりました。昨年11月の衆議院議員選挙に会長の渡邉美樹氏が立候補したときに、ブラック企業なのに立候補したと批判が起きました。実際にワタミ㈱がブラック企業かどうかは別として、会社に対する批判が突然沸き起こることが多くなったように思います。

 以前であれば、事の良し悪しは別としてマスコミに取り上げられる機会はそうそうあるものではありませんでした。会社の評判が経営者の耳に入るのは余程評判が大きくならないとその機会がありません。そうでないケースというのは、ひょんなことから耳に入るぐらいしかなかったように思います。 例えばこんなケースがありました。顧客会社の経営者から聞いた話ですが、あるとき採用した社員から断りの連絡があったそうです。その理由は、採用した社員がハローワークに行ったとき、たまたま話をしていた別の求職者から「あの会社は従業員が長続きしないからやめた方がいい」とアドバイスされたので、入社をお断りします、というものでした。

 現在でもそうですが、ハローワークでは就職・退職を繰り返す人が求人のコーナーにいて、ある種「主」のような存在となって、他の求職者にあれこれと声をかけています。「あの会社は‥」等といった話を他の求職者に対してするわけです。  中小企業を中心に、人の出入りが激しい会社は昔から存在していましたから、そういった会社は募集してもなかなか人が集まらない理由は、そういったところにもあります。それが今で言うところの「ブラック企業」といえるかもしれません。

 最近は、ツイッターやフェイスブックといった、いわゆる「ソーシャル・ネットワーク・サービス」で気軽に情報発信できるようになってきて、ちょっとした評判が(特に悪評を中心に)瞬く間に社会へ広がってしまいます。確かに、就職退職を繰り返す労働者はいろいろと問題があります。しかし、労働者側が会社をどのように見るかについては、ある意味本人の勝手ですから無茶な言い分は無視すればいいようですが、社会に悪評が広がり「ブラック企業」との認定をいただくことは避けたいものです。

 その対策としては大きく分けて2つあります。

 まず最初は、採用のハードルを下げないことです。面接のときに「?」と少しでも思えば絶対に採用してはいけません。どうしても人がないから、高い募集費をかけているから等の理由から採用している場合がないでしょうか。一時的にしのげても、結局退職してしまったりするので、長い目で見ますと高くつくことになります。

 採用に関連して言うと、あまり経験者を重要視しすぎないことです。もちろんまったくの無経験者よりある程度経験のあるほうが、採用後使いやすいことは確かですが、本人が言うかどうかは別として、前職の会社と比較されます。「当社は業界の中でも待遇が結構良い」と自信をお持ちならよろしいですが、同等か劣るならば、未経験者を育てていくほうが、長い目で見てコストパフォーマンスは良いように感じます。

 次は、最も重要な点ですが、労働関係法規や業界の規制法規等を遵守することだと思います。

 最近は「法律とは破るためにある、上に法あれば下に対策がある」などといった言葉はあまり聴かなくなりましたが、コンプライアンスを重要視する人が若い人を中心に増えてきているようです。特に労働基準法、その中でも「労働時間」と「割増賃金」については必ず遵守して欲しいものです。「ブラック企業」といわれる会社は多かれ少なかれ、この部分が守られていません。意図的に守らないつもりがなくても、解釈が違っている場合が多く見受けられます。

 労働者の側でもネットで簡単に調べられるので良く知っている場合が多いですが、ネットの情報は玉石混交で、結構解釈に誤りが見受けられます。そこで、会社としては、十分に遵守した上で、「ここについては、このように対策し、このように遵守しています。」という説明を丁寧に行い、労働者の解釈間違いを正していく努力が必要になります。

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