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2003年07月20日
労働基準法が変わります

 6月27日に参議院で改正労働基準法が可決成立しました。(施行は10月1日から)改正点は次のとおりです。 1.労働契約期間の上限が3年(専門的知識の必要な職種と60歳以上は5年)になります。(現行は1年と3年) 2.解雇について、「客観的合理的な理由なく、社会通念上相当であると認められない場合は解雇権の濫用になり無効」との条文(18条の2)が追加に されます。 3.解雇予告期間中の退職理由の証明書交付の義務。 4.みなし労働時間制の要件の緩和   企画業務型裁量労働制の用件が緩和。本社部門で経営計画等の重要事項を企画決定する業務に従事する人のみ対象だったものが、支社・工場等でも 経営上重要な部署で導入可能になりました。また、労使委員会の全員の決議が必要だったものが、5分の4以上の賛成で導入が可能になりました。   この場合の労使委員会は、もともと労働基準監督署に設置届けを提出していなければ認められなかったものが、届出の要件がなくなりました。  今回の労働基準法の改正に当たっては、経済団体からの強い要望によって実現したものです。その中で、最も注目されていたのは、「事業主は、従業員を解雇できる。」という条項が原案には入っていましたが、これは労働団体の強い反対にあって削除されました。  しかし、もともと労働契約は民法の規定で解約自由の原則から、事業主に解雇権があると規定されているので、わざわざ労働基準法に規定するべきでないという意見により削除されたもので、今までと大きく違った訳ではありません。  ただ、過去の裁判の判例の積み重ねによって、解雇が非常に制限されているのは事実で、むやみに解雇すると、即、解雇権の濫用と言われてしまいます。  そこで、引き続き経済団体はもう次の改正に向かって運動をしていまして、次なる要点は、「解雇ルール」の規定を定めようとしています。その中でも、注目点は金銭解決のルールをです。  現在、労働基準法には、手続きとして30日分の平均賃金を支払うと即日解雇できる旨定めています。 しかし裁判になった場合、解雇の取り消しの判決が出る場合がほとんどですが、実際に訴えた人が職場に復帰するかといえば、そうでないケースがかなりの数に上ります。事業主側とすれば、いったん解雇した人に戻ってこられると従業員の士気が著しく低下しますし、解雇された従業員もよっぽど性根の座った人でないと、まず勤められないだろうと思います。そこで、裁判になる前に、金銭で解決してしまおうというわけです。  具体的な金額や方法はこれからの審議によりますが、今年中には具体的な案が発表されるということです。  しばらく新聞から目が離せません。また発表されましたら、お知らせいたします。

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