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2014年03月2日
平成26年4月1日からの年金法の改正施行

 国民年金、厚生年金等の年金関連の法律改正がパッケージになった通称『年金機能強化法』(公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金等の一部を改正する法律)の一部が、今年の4月1日(平成26年)から改正施行されます。詳細はいろいろありますが、会社の実務上関係のありそうなものについてお知らせいたします。

1.産休期間中の保険料免除  育児休業期間中の社会保険料(健康保険・厚生年金保険・介護保険・児童手当拠出金)は、労使双方とも免除されていましたが、4月1日以降は産前産後休業期間中も免除されることになりました。

(1) 産前産後休業期間中の保険料の免除  産前休業開始日の属する月から産後休業終了日の翌日が属する月の前月までの保険料が免除になります。手続きとしては、休業を開始した時点で『産前産後休業取得者申出書』をまず提出します。  産前休業を開始すると、出産予定日を中心として産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)と産後8週間の期間(産前も産後も労働基準法の規定どおり休業した場合)として届出をします。ここで、出産予定日と出産日が同じなら『産前産後休業取得者申出書』を1枚出して終わりです。一般的にはその後育児休業へ移行することになりますから、そのときには従来どおり『育児休業等取得者申出書』の提出をして免除期間を続けることになります。  しかし、現実には予定日と出産日が同じにならない場合がありますので、その場合は『産前産後休業取得者変更(終了)届』を提出します。出産日が予定日より後になった場合は、産後休業期間の56日間は不変ですが、産前休業期間の42日から遅れた日数分加算されます(出産日は産前に含む)ので、全体の日数が『産前産後休業取得者申出書』に記載した日数から増加するので終了日を伸ばすために届出が必要になるのです。 実際には、産前産後休業期間が月跨ぎの状況によっては免除月数が変わらない場合も多いかと思いますが、次の育児休業開始日が産後休業終了の翌日になるので、『育児休業等取得者申出書』の日との整合性が取れなくなりますので、『変更(終了)届』の提出が必要になります。 ちなみに、産後休業を8週間取らずに6週間経過後復帰した場合も『変更(終了)届』の提出が必要です。 実務上の取扱いは出産後に『産前産後休業取得者申出書』を提出すれば『変更(終了)届』の提出は不要になります。但し、法律上『産前産後休業取得者申出書』は産前産後休業期間中に提出することになっていますので、期間が経過してからの届出は受理されない可能性がありますので、注意が必要です。

(2) 育児休業期間と産前産後休業期間  育児休業期間中に次の妊娠による産前産後休業期間が開始した場合は、産前産後休業期間の保険料の免除が優先されます。そうすると先の育児休業期間は終了となりますので『育児休業等取得者申出書』の届出をしないと保険料の免除がない期間が発生します。

(3) 4月1日前に産前産後休業している場合  施行日前に既に産前産後休業をしている場合は、施行日に産前産後休業を開始したものとみなされ施行日以後保険料が免除されます。つまり、4月30日以降に産前産後休業が終了する場合に保険料が免除されるということになります。  4月29日に終了する場合は終了日の翌日が30日で、その前月というと3月になるため免除の対象にならず、4月30日に終了すると終了日の翌日は5月1日で、前月の4月分が免除になるからです。

(4) 産前産後休業終了後の標準報酬月額の改定  産前産後休業後に育児休業をとらずに復帰した場合で、短時間勤務等で給料が下がった場合は、『育児休業終了時報酬月額変更届』と同じ手続き(用紙は別)を行います。勿論育児休業を取得した場合は適用されません。この届出用紙もまだ発表されていません。

(5) 3歳未満の子の養育期間中の標準報酬月額の従前額みなし措置  育児休業終了後短時間勤務等で標準報酬月額が下がる場合、保険料は下がった標準報酬月額に応じた額を支払いますが、年金の受給額の計算上は休業前の標準報酬月額であるとみなす特例があり、最大対象の子が3歳になるまでみなされます。 この特例措置の終了理由に「免除の適用を受ける産休を開始したとき」という条文が追加されます。これにより、次子の産前産後休業が開始されますと先の子の特例措置は終了し、次子の育児休業が終了して職場に復帰したときに改めて特例措置の届出が必要になります。このときの標準報酬月額は、先の子の「みなし従前標準報酬月額」と同じとすることができます。 施行日前に産前産後休業を開始していて、4月1日以降に保険料免除対象となった場合(いわゆる③のケース)には、施行日に産前産後休業を開始したものとみなとして、先の子の育児期間にかかる標準報酬みなし措置は終了します。

 4月1日以降は、社員の出産子育てにかかる手続きが非常に煩雑になってきますので、手続き漏れがないように尚一層の注意が必要になってきます。

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