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2003年08月20日
定年年齢の引上げを行いますか?

 厚生年金の支給開始年齢の引上げが昨年の4月から開始しているのはご存知のことと思います。  昭和16年4月2日以降生れの方は実質2年ごとに定額部分の支給開始年齢が1歳ずつ上がっていきます。最終的には、男性で昭和36年4月2日(女性は昭和41年4月2日)以降生れの方は65歳にならないと年金が支給されません。  しかし、年金財政がだんだん逼迫してきつつあるため、年金の支給開始年齢を引き上げ、また支給補償額を平均賃金額の約52%(現在約60%)にしていくとしています。つまり公的年金だけでは老後の生活が豊かには過ごしえなくなってきます。  そんな中で、国の方針として老後の生活資金に対して「自己責任」と言い始めています。またそれに伴って、国の施策として60歳を超えて65歳ぐらいまで、できるだけ働けるようにしようとしています。そのもっとも顕著なものは定年の引上げです。現在、定年年齢を定める場合は、60歳を下回ってはならない(高年齢者雇用安定法第8条)、と定められています。それを65歳に法律で定めるまたはそのように政策を誘導していくことにしています。 しかし、最近の経済情勢からいっても、賃金額の比較的高い中高齢者を雇用していくことは非常に困難となっています。ちょうど50歳台の半ばくらいの年齢は団塊の世代と呼ばれ会社の年代構成のなかでも一番人数が多い世代になっている場合が多いと言われています。その年代が今後数年の間にどんどん定年を迎えますと、会社にとっても、本人にとってもなかなか難しい問題が多くなっています。 ひとつは、老後の生活費(主に公的年金の話)の問題ですし、もうひとつは退職金の話です。 税制適格年金は今後8年以内に廃止する、または他の退職金制度(退職年金制度)に移行しなければなりませんし、実際に定年退職者が多く発生するということは、それだけ現金が会社から出て行くということにほかなりません。  そのための支給原資をどう確保するかという話はまたの機会に譲るとしまして、定年の延長という話は、具体的な解決策のひとつとなり得ます。勿論、役職や給料をそのままにして延長するのではありません。また、会社の人員構成の高齢者がますます多くなってしまうという状況をそのままにするのでもありません。そこは一工夫二工夫をして給料総額を増やさず、わずかでも減らしてという方法が大原則になります。  特に製造業などでは、中高齢者が多く若年労働者が少ないという現象は、技術の継承という面からも大変問題があります。最近では、20歳台の5人に1人は職がないといわれていますし、中高齢者の雇用の確保の優先のしわ寄せが若い人に来ているともいわれています。  賃金総額をなるべく減らし、会社の人員構成もなるべく偏らせず技術の継承を図る、このような対策のひとつに、定年の延長は使えるひとつの選択肢になりえると思います。

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