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公的年金に対する考え方

 年金は日本国民ならだれでも等しく同じ金額もらえるものではありません。ということは誰しも知っていることと思いますが、わかっているようで案外理解していないように見えることは、年金制度は、生命保険や健康保険等と同じく『保険』であるということです。

 厚生年金は『厚生年金保険法』と所掌の法律に『保険』が付いていますが、国民年金には『国民年金法』と『保険』がついていませんので、保険であるということがなかなか意識されていないように思えます。これは国民年金法が制定された昭和34年時点(同年11月1日)で、この法律に基づき保険料を無拠出で当時70歳以上の高齢者に対して福祉年金が支給されたため、法律に『保険』の文言がつけられなかったからです。

 保険は被保険者から保険料を徴収し、被保険者に保険事故(保険を支払うべき事由)が生じた場合に給付金を支給する制度です。年金制度も同じく保険事故(この場合老齢・障害・死亡がそれにあたります)が生じた場合給付金が支給されます。

 

 保険制度ですから保険事故が生じない場合、保険料が掛け捨てになる場合が生じ得ます。老齢というほとんどの人が迎える保険事故があるがゆえに、掛け捨てになるケースは非常に少ないことは事実ですが。

 掛け捨てになるケースというのは、本人が亡くなった場合にあります。老齢年金をもらう前に死亡する場合や、もらい始めていても比較的短期間で死亡する場合があります。また、死亡という保険事故に対する給付には、遺族年金がありますが、それをもらうべき遺族がいない場合や、もらうべき遺族が配偶者(妻の場合)で夫の死亡時に35歳未満の場合(5年間の有期年金のため)などがあります。

 また、保険料を納める被保険者期間(保険料納付済み期間ではありません)が25年(現行の制度では300ヶ月、平成27年10月1日からは10年120ヶ月)を割り込んでいる場合は老齢年金の支給はありません。

 障害年金では保険料納付要件(障害が確定した日の直近1年間の保険料未納期間がある場合など)を満たしていない場合などは支給されません。

 

 『年金制度は破綻するからもらえない』ということも、若い人を中心に良く話ですが、あまり根拠のある話とは思えません。

 現在の年金制度は『賦課方式』を採っており、これは、その年に集めた保険料を年金受給者に支給しており、足らない分を税金と積立金の取り崩しで補っています。税金の投入が50%、積立金の取り崩しが3~5兆円。厚生年金・共済年金等、年金制度全体の積立金が約150兆円。

 年金制度全体が制度上統合していないため、積立金の取り崩しに長短ありますが、このまま積立金の取り崩しが続けは、30年~40年で積立金が枯渇するといわれています。

しかし、平均寿命がこのまま上昇し続けるには無理があること、物価上昇率が年平均1~2%で20年も30年も続くとは考えにくいこと、高齢者(65歳以上とすると)の人口の比率が65歳未満の人口の比率と比べて永久に増大していくとは考えにくいこと、積立金の減少が一定の金額で続くとは考えにくいこと‥‥等々の理由から年金制度が破たんするという結論を導くには相当無理があります。

 

 日本は『既得権』に対して非常に厳しく考えることが多く、年齢が若くてもすでに少しでも保険料を納めている人に対して、その保険料を全部反故にして年金制度はなくなりました、となることはまず考えられません。もちろん、選挙で必ず投票を行う高齢者に不利な制度は国会議員にはできるものではありませんから、損はどうしても若年者にしわ寄せがいくという弊害はあることは認めなければなりませんが、積立金が枯渇するから制度を廃止しますといったことにはなりません。

 ただ、すでに年金を受給している方に対して、今後は制度上少しずつ減額していくようになっていますので、物価が上昇していっても物価上昇率と同じ割合で年金の受給額が上がるわけではなくなっています。

 

 年金の受給額の話をしているとほとんどの方が、生涯年金を総額いくらもらえるかという話をよくされます。年金の繰り上げ・繰り下げの話の中にも必ず出てきます。

 しかし、年金の受給額の視点は実はそれだけではありません。

 1つ目の視点は、『月額がいくらになるか』ということです。繰上げ・繰り下げの損得の話ではありますが、『いつ死ぬかわからんので早い目にもらった方が』という話になりがちです。もともと年金だけで十分な老後の生計費を賄える人は少ないのですが、老後の生計費の大半を占めるのも年金です。

 月額が少ないので繰り下げして受給額を増やそうという考え方もあり得るわけです。そのためには、定年後年金受給まで少しでも働くことを考えようということも考えていくことになります。これは年金受給年齢が間近に迫ってから考えたり、行動に移すのでは遅すぎますから、できるだけ若いうちに『ライフプラン』として考えていくべきことです。

 

 2つ目の視点は、ほとんどの方が『生涯年金を総額いくらもらえるか』というと、『自分のことだけ』と考えて損得を判断しています。しかし、本人が亡くなっても残った人(ほとんどの場合妻)に生涯遺族年金が支給されます。額は本人の老齢厚生年金の4分の3ですから少々減額になりはしますが、本人が亡くなっても配偶者がその後5年も10年も生きれば、本人が掛けてきた保険料は十分元が取れることになります。

  後に残る人のことも、考慮に入れて考えてください。

厚生年金・国民年金の財政見通しの公表

   国は法律(厚生年金保険法・国民年金法)に基づき、5年ごとに年金制度の財政検証を行い、その結果に基づき法律改正を含む制度の手直しをしています。

 この検証が当たらない。もちろん誤差の範囲をどの程度とるかによって『概ね当たっている(誤差の範囲内)』ということは可能です。しかし、データの取り方、各種指標の選択が、政策や法律の方向性に合わせて都合よく高めあるいは低め又は希望的観測に基づいて取るものですから当たらなくなってしまいます。

  この直接(大元の原因についてはまた別の機会に)の原因は平成16年に行われた年金法の改正経緯にあります。『100年安心』などというスローガンのもと行われた改正でしたが、改正時にはすでに『100年安心』とはならない状態でした。ご記憶の方も多いかと思いますが、国会での改正時には問題の核心とは全くかけ離れた『失われた5,000万件の記録』問題が提起され、国会が紛糾し十分な議論がされないまま改正が行われてしまいました。勿論年金の記録は大切なことは当たり前ですが、年金の制度設計の話と記録の維持の話は別にしないと、結果として議論のすり替えになってしまいました。

 少子化が進行し、年金受給者が増大し年金財政が破たんしかねないということは関係者の間では、昭和40年代から周知の事実です。そのため持続可能なように制度の改正を着実に行っていかねばなりません。なぜなら年金制度は国民全体に影響が及ぶため、仕組みを変えることなどの変更は、十分な年月(例えば支給開始年齢を5年遅らせるだけで27年間かけています)とあらかじめの国民に対する周知が絶対的に必要だからです。

 平成15年の国会議員の議会での行いは、結果として国民に年金制度の不信感だけを抱かせるという結果になってしまいました。

 もっとも国会議員のレベルは国民のレベルを超えないのでしょうけれど。

ホワイトカラーエグゼンプションがまたやってきた

 政府の下に『産業競争力会議』が設置され、アベノミクスの第3弾の規制改革について検討し、政府に対して提言をするようになっています。

 『規制改革』『規制緩和』『構造改革』などといい続けて、『土光臨調』の頃からでも、もう既に40年近くたっています。『ニクソンショック』に始まり『繊維摩擦』、『オイルショック』、『自動車摩擦』、『プラザ合意による円高』などなど日本を取り巻く国際政治情勢や経済情勢によって、政府による規制改革・構造改革が行われ、さまざまな国内産業がそれに対応すべく変化を遂げてきました。

 その結果、いろんな荒波にもまれた産業ほど、産業構造の改革や研究開発・イノベーションによって生産性があがり発展してきました。勿論その過程には個別企業やその産業そのものが、衰退・倒産・廃止の憂き目に会って着た事実があります。しかし、全体としては産業競争力がつき発展したこともまた事実です。

 

 そこで最後に残っているのが、『岩盤規制』といわれる農業・医療・福祉・雇用の4つの産業であり、分野です。

 第1次安部内閣の時代に『ホワイトカラーエグザンプション』として、雇用の中の労働時間の自由化について規制改革を行おうとしましたが、『賃金不払い制度』と野党やマスコミから本来の趣旨からかけ離れた議論にもっていかれ実現しませんでした。

 今回の労働時間規制の緩和の制度も前回の労働時間規制の緩和と基本的に同じですが、今回はさすがに前回の轍を踏まないように、『ホワイトカラーエグゼンプショク』という言葉は避けています。

 日本のブルーカラーの労働生産性は世界でも一流ですが、ホワイトカラーの労働生産性は欧米に比べて大きく見劣りするといわれています。このホワイトカラーの労働生産性を上げていかないと、諸外国の優秀な企業や労働者を呼び込むことができないといわれています。今後日本は人口の減少に伴い、生産年齢人口の減少が避けられませんし、実際に減少し始めています。

 日本は単純外国人労働者の流入は制限していますが、一部の技能労働者や研究者や企業経営者等の優秀な外国労働者は一定範囲で受け入れています。ところが硬直的な労働規制がネックになってスムーズな受入れが実現できていません。勿論、労働時間規制だけが問題ではありませんが、受入れが進まない一つの要因になっています。

 

 給料を労働時間の対価ではなく仕事の成果に対して支払う職種(特にホワイトカラー)があるべきだと思います。現状時間外労働が多い職場で、残業代目当てで仕事をしている人は皆無ではありません。また、事業主や上司の中には残業をしていると良く仕事ができると本当に思っている人もいるようです。

 ホワイトカラーエグザンプションのキモは、仕事の成果によって給料の額が決まるということですから、仕事のやり方というよりは仕事の与え方が重要になってきます。ホワイトカラーエグザンプションによって仕事をする人より、その人に仕事を割り振っていく上司の能力が問われるといえるでしょう。このことは一部ホワイトカラーの仕事のやり方が劇的に変わるかもしれません。

 勿論、この制度を悪用し、単に長時間の仕事をさせるだけの会社は、どんどん従業員が辞めていくでしょう。これからは景気の回復によることと人口の減少が進むため、人手不足が進行し、労働市場は労働力の売り手優位の時代が続く可能性があります。仕事で成果が上げられない人はそれなりの給料になりますし、成果が上げられる人は長時間労働とは無縁の世界に生きることとなるでしょう。

 まさに今だからこそ労働生産性を上げるために必要な制度といえます。

平成26年4月1日からの年金法の改正施行

 国民年金、厚生年金等の年金関連の法律改正がパッケージになった通称『年金機能強化法』(公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金等の一部を改正する法律)の一部が、今年の4月1日(平成26年)から改正施行されます。詳細はいろいろありますが、会社の実務上関係のありそうなものについてお知らせいたします。

1.産休期間中の保険料免除  育児休業期間中の社会保険料(健康保険・厚生年金保険・介護保険・児童手当拠出金)は、労使双方とも免除されていましたが、4月1日以降は産前産後休業期間中も免除されることになりました。

(1) 産前産後休業期間中の保険料の免除  産前休業開始日の属する月から産後休業終了日の翌日が属する月の前月までの保険料が免除になります。手続きとしては、休業を開始した時点で『産前産後休業取得者申出書』をまず提出します。  産前休業を開始すると、出産予定日を中心として産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)と産後8週間の期間(産前も産後も労働基準法の規定どおり休業した場合)として届出をします。ここで、出産予定日と出産日が同じなら『産前産後休業取得者申出書』を1枚出して終わりです。一般的にはその後育児休業へ移行することになりますから、そのときには従来どおり『育児休業等取得者申出書』の提出をして免除期間を続けることになります。  しかし、現実には予定日と出産日が同じにならない場合がありますので、その場合は『産前産後休業取得者変更(終了)届』を提出します。出産日が予定日より後になった場合は、産後休業期間の56日間は不変ですが、産前休業期間の42日から遅れた日数分加算されます(出産日は産前に含む)ので、全体の日数が『産前産後休業取得者申出書』に記載した日数から増加するので終了日を伸ばすために届出が必要になるのです。 実際には、産前産後休業期間が月跨ぎの状況によっては免除月数が変わらない場合も多いかと思いますが、次の育児休業開始日が産後休業終了の翌日になるので、『育児休業等取得者申出書』の日との整合性が取れなくなりますので、『変更(終了)届』の提出が必要になります。 ちなみに、産後休業を8週間取らずに6週間経過後復帰した場合も『変更(終了)届』の提出が必要です。 実務上の取扱いは出産後に『産前産後休業取得者申出書』を提出すれば『変更(終了)届』の提出は不要になります。但し、法律上『産前産後休業取得者申出書』は産前産後休業期間中に提出することになっていますので、期間が経過してからの届出は受理されない可能性がありますので、注意が必要です。

(2) 育児休業期間と産前産後休業期間  育児休業期間中に次の妊娠による産前産後休業期間が開始した場合は、産前産後休業期間の保険料の免除が優先されます。そうすると先の育児休業期間は終了となりますので『育児休業等取得者申出書』の届出をしないと保険料の免除がない期間が発生します。

(3) 4月1日前に産前産後休業している場合  施行日前に既に産前産後休業をしている場合は、施行日に産前産後休業を開始したものとみなされ施行日以後保険料が免除されます。つまり、4月30日以降に産前産後休業が終了する場合に保険料が免除されるということになります。  4月29日に終了する場合は終了日の翌日が30日で、その前月というと3月になるため免除の対象にならず、4月30日に終了すると終了日の翌日は5月1日で、前月の4月分が免除になるからです。

(4) 産前産後休業終了後の標準報酬月額の改定  産前産後休業後に育児休業をとらずに復帰した場合で、短時間勤務等で給料が下がった場合は、『育児休業終了時報酬月額変更届』と同じ手続き(用紙は別)を行います。勿論育児休業を取得した場合は適用されません。この届出用紙もまだ発表されていません。

(5) 3歳未満の子の養育期間中の標準報酬月額の従前額みなし措置  育児休業終了後短時間勤務等で標準報酬月額が下がる場合、保険料は下がった標準報酬月額に応じた額を支払いますが、年金の受給額の計算上は休業前の標準報酬月額であるとみなす特例があり、最大対象の子が3歳になるまでみなされます。 この特例措置の終了理由に「免除の適用を受ける産休を開始したとき」という条文が追加されます。これにより、次子の産前産後休業が開始されますと先の子の特例措置は終了し、次子の育児休業が終了して職場に復帰したときに改めて特例措置の届出が必要になります。このときの標準報酬月額は、先の子の「みなし従前標準報酬月額」と同じとすることができます。 施行日前に産前産後休業を開始していて、4月1日以降に保険料免除対象となった場合(いわゆる③のケース)には、施行日に産前産後休業を開始したものとみなとして、先の子の育児期間にかかる標準報酬みなし措置は終了します。

 4月1日以降は、社員の出産子育てにかかる手続きが非常に煩雑になってきますので、手続き漏れがないように尚一層の注意が必要になってきます。

気がつけばブラック企業?

  世間では、主に残業代を支払わず長時間労働をさせる会社のことを『ブラック企業』と呼んでいます。いつごろから言われだしたか定かではありませんが、5~6年前には言われ始めていたようです。

 初期のころは、スキルの低い労働者でもこなせる不特定多数相手の営業の仕事などで、過大なノルマや長時間労働を強制し、常時求人を行い、大量採用し次々と離職者が出る企業のことを指していたようです。しかし、最近では一般的に労働関係法令や、その他その業種に関係する法律を守らない経営者を中心にコンプライアンスの意識の低い会社もブラック企業と呼ばれる場合もあるようです。

 最近では、居酒屋の「和民」を展開するワタミ㈱がブラック企業と呼ばれて話題になりました。昨年11月の衆議院議員選挙に会長の渡邉美樹氏が立候補したときに、ブラック企業なのに立候補したと批判が起きました。実際にワタミ㈱がブラック企業かどうかは別として、会社に対する批判が突然沸き起こることが多くなったように思います。

 以前であれば、事の良し悪しは別としてマスコミに取り上げられる機会はそうそうあるものではありませんでした。会社の評判が経営者の耳に入るのは余程評判が大きくならないとその機会がありません。そうでないケースというのは、ひょんなことから耳に入るぐらいしかなかったように思います。

 レアケースかも知れませんが、例えばこんなケースがありました。顧客会社の経営者から聞いた話ですが、あるとき採用した社員から断りの連絡があったそうです。その理由は、採用した社員がハローワークに行ったとき、たまたま話をしていた別の求職者から「あの会社は従業員が長続きしないからやめた方がいい」とアドバイスされたので、入社をお断りします、というものでした。

 今でもそうですが、ハローワークでは就職・退職を繰り返す人が求人のコーナーにいて、ある種「主」のような存在となって、他の求職者にあれこれと声をかけています。「あの会社は‥」等といった話を他の求職者に対してするわけです。中小企業を中心に、人の出入りが激しい会社は昔から存在していましたから、そういった会社は募集してもなかなか人が集まらない理由は、そういったところにもあります。それが今で言うところの「ブラック企業」といえるかもしれません。

 最近は、ツイッターやフェイスブックといった、いわゆる「ソーシャル・ネットワーク・サービス」で気軽に情報発信できるようになってきて、ちょっとした評判が(特に悪評を中心に)瞬く間に社会へ広がってしまいます。

 確かに、就職退職を繰り返す労働者はいろいろと問題がある場合が多いのも事実でしょう。しかし、労働者側が会社をどのように見るかについては、勝手ですから無茶な言い分は無視すればいいようですが、社会に悪評が広がり「ブラック企業」との認定をいただくことは避けたいものです。

対策としては大きく分けて2つあります。

 まず最初は、採用のハードルを下げないことです。面接のときに「?」と少しでも思えば絶対に採用してはいけません。どうしても人がないから、高い募集費をかけているから等の理由から採用している場合がないでしょうか。一時はしのげても、結局退職してしまったりするので、長い目で見ますと高くつくことになります。

 採用に関連して言うと、あまり経験者を重要視しすぎないことです。もちろんまったくの無経験者よりある程度経験のあるほうが、採用後使いやすいことは確かですが、本人が言うかどうかは別として、前職の会社と比較されます。「当社は業界の中でも待遇が結構良い」と自信をお持ちならよろしいですが、同等か劣るならば、未経験者を育てていくほうが、長い目で見てコストパフォーマンスは良いように感じます。

 次は、最も重要な点ですが、労働関係法規や業界の規制法規等を遵守することだと思います。最近は「法律とは破るためにある、上に法あれば下に対策がある」などといった言葉はあまり聴かなくなりましたが、コンプライアンスを重要視する人が若い人を中心に増えてきているようです。特に労働基準法、その中でも「労働時間」と「割増賃金」については必ず遵守して欲しいものです。「ブラック企業」といわれる会社は多かれ少なかれ、この部分が守られていません。意図的に守らないつもりがなくても、解釈が違っている場合が多く見受けられます。

 労働者の側でもネットで簡単に調べられるので良く知っている場合が多いですが、ネットの情報は玉石混交で、結構解釈に誤りが見受けられます。そこで、会社としては、十分に遵守した上で、「ここについては、このように対策し、このように遵守しています。」という説明を丁寧に行い、労働者の解釈間違いを正していく努力が必要になります。

 最も解釈が違っているのは、変形労働時間制やみなし労働時間制をとっていない会社は、どのような場合が、時間外労働や休日労働になるという解釈はが、個人的な見解ですが、ほとんどの方(経営者も労働者も)が理解されていないように見受けられます。

気がつけばブラック企業?

 世間では、主に残業代を支払わず長時間労働をさせる会社のことを『ブラック企業』と呼んでいます。いつごろから言われだしたか定かではありませんが、5~6年前には言われ始めていたようです。

 初期のころは、スキルの低い労働者(新規学卒者)でもこなせる不特定多数相手の営業の仕事などで、過大なノルマや長時間労働を強制し、常時求人を行い、大量採用し次々と離職者が出る企業のことを指していたようです。しかし、最近では一般的に労働関係法令やその他その業種に関係する法律を守らない経営者を中心にコンプライアンスの意識の低い会社もブラック企業と呼ばれる場合もあるようです。

 最近では、居酒屋の「和民」を展開するワタミ㈱がブラック企業と呼ばれて話題になりました。昨年11月の衆議院議員選挙に会長の渡邉美樹氏が立候補したときに、ブラック企業なのに立候補したと批判が起きました。実際にワタミ㈱がブラック企業かどうかは別として、会社に対する批判が突然沸き起こることが多くなったように思います。

 以前であれば、事の良し悪しは別としてマスコミに取り上げられる機会はそうそうあるものではありませんでした。会社の評判が経営者の耳に入るのは余程評判が大きくならないとその機会がありません。そうでないケースというのは、ひょんなことから耳に入るぐらいしかなかったように思います。 例えばこんなケースがありました。顧客会社の経営者から聞いた話ですが、あるとき採用した社員から断りの連絡があったそうです。その理由は、採用した社員がハローワークに行ったとき、たまたま話をしていた別の求職者から「あの会社は従業員が長続きしないからやめた方がいい」とアドバイスされたので、入社をお断りします、というものでした。

 現在でもそうですが、ハローワークでは就職・退職を繰り返す人が求人のコーナーにいて、ある種「主」のような存在となって、他の求職者にあれこれと声をかけています。「あの会社は‥」等といった話を他の求職者に対してするわけです。  中小企業を中心に、人の出入りが激しい会社は昔から存在していましたから、そういった会社は募集してもなかなか人が集まらない理由は、そういったところにもあります。それが今で言うところの「ブラック企業」といえるかもしれません。

 最近は、ツイッターやフェイスブックといった、いわゆる「ソーシャル・ネットワーク・サービス」で気軽に情報発信できるようになってきて、ちょっとした評判が(特に悪評を中心に)瞬く間に社会へ広がってしまいます。確かに、就職退職を繰り返す労働者はいろいろと問題があります。しかし、労働者側が会社をどのように見るかについては、ある意味本人の勝手ですから無茶な言い分は無視すればいいようですが、社会に悪評が広がり「ブラック企業」との認定をいただくことは避けたいものです。

 その対策としては大きく分けて2つあります。

 まず最初は、採用のハードルを下げないことです。面接のときに「?」と少しでも思えば絶対に採用してはいけません。どうしても人がないから、高い募集費をかけているから等の理由から採用している場合がないでしょうか。一時的にしのげても、結局退職してしまったりするので、長い目で見ますと高くつくことになります。

 採用に関連して言うと、あまり経験者を重要視しすぎないことです。もちろんまったくの無経験者よりある程度経験のあるほうが、採用後使いやすいことは確かですが、本人が言うかどうかは別として、前職の会社と比較されます。「当社は業界の中でも待遇が結構良い」と自信をお持ちならよろしいですが、同等か劣るならば、未経験者を育てていくほうが、長い目で見てコストパフォーマンスは良いように感じます。

 次は、最も重要な点ですが、労働関係法規や業界の規制法規等を遵守することだと思います。

 最近は「法律とは破るためにある、上に法あれば下に対策がある」などといった言葉はあまり聴かなくなりましたが、コンプライアンスを重要視する人が若い人を中心に増えてきているようです。特に労働基準法、その中でも「労働時間」と「割増賃金」については必ず遵守して欲しいものです。「ブラック企業」といわれる会社は多かれ少なかれ、この部分が守られていません。意図的に守らないつもりがなくても、解釈が違っている場合が多く見受けられます。

 労働者の側でもネットで簡単に調べられるので良く知っている場合が多いですが、ネットの情報は玉石混交で、結構解釈に誤りが見受けられます。そこで、会社としては、十分に遵守した上で、「ここについては、このように対策し、このように遵守しています。」という説明を丁寧に行い、労働者の解釈間違いを正していく努力が必要になります。

「マイナンバー」は使えるか? Part2

 国民総番号にしても、導入についての最大の問題は、個人情報が悪用される可能性があることです。世界の主要国で、国民の番号制度を導入していないのは日本だけのようです。そこで先に導入している国を見てみるとやはり最大の問題は、番号を悪用されて国民に被害が出ていることです。

例えば、アメリカでは、社会保障番号として導入されていますが、その番号をいろいろな機関が流用しています。大学その他の学校の学生番号として使っていたり、クレジット会社の会員カードの番号として使っていたりします。そうするとその番号を悪用されて金銭的な被害が出ているケースが結構あるようです。また、韓国でも同様の被害があると聞いています。確かに一つの番号であらゆることができればできるほど便利にはなります。しかし、その反面悪用されるケースが増えて、被害に会う機会も格段に増えることも事実です。

 現在利用方法が将来的にほぼ確定しているのは、マイナンバーを記載したカードを発行し、それに健康保険証の機能をもたせ、医療機関の診療履歴及び薬歴の管理ができるようにすることです。これは、カードの所持者が過去にどのような病歴を持っていて、それに対してどのような医療機関を受診したか、またどのような薬を処方されたかが履歴としてわかるようにすることです。1つの病気に対していろいろな医療機関をはしごし、その都度同じような検査や薬を処方されたりし、無駄が非常に多いことが指摘されています。それに対する方法として、レセプト(診療カード)の電子化を導入したり、「お薬手帳」を発行したりして、無駄な受診や検査・重複する医薬品などを防ごうとしていますが効果を挙げているとはいえません。

 特に、レセプトの電子化は導入されて数年が経過し、すでに大半の医療機関で導入が進んでいる予定でしたが、ITになれない医師が多い(特に高齢の医師を中心に)、導入の費用が高額、打ち込みに余計な人件費がかかる等の理由で、開業医を中心にあまり進んでいません。最初は導入しないと診療報酬が減額されるなどの強制的な導入を目指したようですが、医師会の強硬な反対でそれも先送りになっています。レセプトの電子化やマイナンバカードの健康保険証化は増え続ける医療費の削減に大きな効果を発揮しそうですがなかなかすんなり導入することは難しそうです。

  もう一つ番号制度の導入の目的は国民の所得の把握にあります。もともと『国民総背番号制』と呼ばれていたころの導入の目的はむしろこちらにありました。健康保険証としての機能の次に導入を予定されているようです。

 給与所得者は税の申告を自分でせず、年末調整という方法で給与支払い者、つまり会社が代わって行っているため、脱税がしにくく、その所得の捕捉率はほぼ100%です。ところが、自営業者や農業・林業・水産業従事者の所得の捕捉率は、『クロヨン』とか『トーゴーサン』・『トーゴーサンピン』とかなどといわれるように、給与所得者に比べて非常に低くなっています。これが国民、とくに給与所得者に不公平感を持たせる大きな理由になっています。

 ちなみにご存知の方も多いかと思いますが、『クロヨン』とは、給与所得者、自営業者、農業・林業・水産業従事者の順に所得の捕捉率が、9割・6割・4割ということです。それを、給与所得者を10割としてはじき出したものが『トーゴーサン』で、同じ順番で、10割・5割・3割となり、それに、政治家の1割を加えたものが『トーゴーサンピン』です。政治家の1割というのがミソで、番号制度の導入を妨害(?)したのは、実は一部の政治家なのかもしれません。

 いずれにしても、選挙の圧力団体といえる組織などが妨害したことは、想像に難くありません。ところは今回に関しては、税金の面というより社会保障に利用するという目的のためという側面が強いため、さほど大きな抵抗とはなっていないようです。

 最近特に懸念が広がっているのは情報の漏洩です。IT化の最大の問題といっていいかもしれません。システムのセキュリティの強化がさまざまになされていますが、システムのハッキングやデータの漏洩が後を絶ちません。

 マイナンバーも正しく使用すれば、あらゆる面で利便性は大きく向上します。しかし、一部の既得権益を守りたい勢力が何かにつけて反対し、また悪意のある人々がいろんな妨害を試みたりして、十分でかつ安全な制度はこれからも基本的に存在しないでしょう。

 しかし、危険性があるからと利便性の高い制度の導入をせず、従来のままのやり方を踏襲するだけでは社会の発展はありません。どのような制度を取り入れるにしてもプラスの側面とマイナスの側面があります。プラスを極大化しマイナスを極小化すればいいのですが、それには膨大なヒストもかかります。結局はそのところの折り合いをどうつけるのかが問われているのではないでしょうか。

 

「マイナンバー」は使えるか? Part1

 20年以上前から導入を目指していた、国民一人ひとりに番号を割り振る制度が、ようやく実施されそうです。以前は「国民総背番号制」などと言っていましたが今回は「マイナンバー」という通称になりました。まず、平成28年1月から税金の取り扱い(確定申告等)に関して使えるようにして、その後社会保障関係に使用できることとし、今後3~4年かけて別の使い道がないか検討するようです。

 社会保障といっても、医療・生活保護・社会保険等いろいろありますが、会社関係では社会保険(広い意味で労働保険を含む)に関してということが最も身近ではないでしょうか。 社会保険関係の番号といえば、基礎年金番号(厚生年金番号や共済年金番号を含む)や、そのほかの退職年金や厚生年金基金等の企業年金に関する番号、健康保険番号(会社の記号番号や健康保険協会の会社識別番号を含む)、雇用保険番号等があります。

 基礎年金番号は、国民全員20歳に到達すれば(すでに働いていて基礎年金番号を割り振られている人を除く)割り振られる4桁+6桁の合計10桁の国民1人に対して1つの番号です。平成9年までに厚生年金(共済年金を含む)に加入していた人は、それまでの厚生年金番号(共済年金番号)が、そのまま基礎年金番号となりました。国民年金番号を持っていた方は、原則として新たに基礎年金番号が割り振られています。

 平成9年以降は新たに年金制度に加入した時、基礎年金番号が割り振られます。これは、20歳未満で厚生年金制度・共済年金制度の適用されている会社若しくは組織に就職して働き始めた場合は、その就職した時から、それ以外の人は20歳になった時点で割り振られます。基礎年金番号は一旦割り振られますと一生涯同じ番号になり、国民年金や厚生年金・共済年金等それぞれ年金制度の管轄にある会社や組織間の転職・失業を繰り返しても同じ番号が継続します。

 平成9年以前は、転職するたびに新たな番号を発行してもらっていた人がけっこうあり、年金手帳を2冊以上持っていた人もありました。現在でも持っている人はいますが、ほとんどの場合いずれかの番号の1つに統合されています。それでも、会社が新入社員を採用した時に、年金手帳を複数冊以上出す人、年金手帳なんかもらってないという若い人が結構あります。年金手帳を複数冊以上出された場合は、厚生年金保険・健康保険資格取得届を年金事務所に提出するときに、番号が統合されていないかどうかを調べます。統合されている場合はその統合されている番号を本人に通知しますし、統合されていないときは窓口で統合の手続きを行い、その統合された番号を本人に通知します。

 現在36歳未満の人で、年金手帳をもらっていないという人には、年金事務所の窓口でその人の基礎年金番号を調べます。その人の、20歳時点の現住所を置いている市町村から発行されて、その住所に送付されているはずですが、気が付いていない場合や気が付いていてもどこへ行ったか分からないケースや、20歳時点にはもうそこに住んでなくて本人に手帳がわたっていないケースなどがあります。そういう場合は、本人の20歳時点での住所や、住んでいない場合は現住所が置かれていると思われる住所、生年月日・性別・過去に働いたケースがないかなど、わかる範囲のことを聞き取りし、かつ本人の委任状を作成して、年金事務所の窓口で調査してもらいます。そうすると、ほとんどの場合、基礎年金番号が見つかります。そこで、年金手帳の再発行の手続きを行い、本人にとっては初めてであろう年金手帳を渡すことになります。

 健康保険番号は加入している制度によって違います。国民健康保険・(協会管掌)健康保険・共済組合・国民健康保険組合・健康保険組合等の会社や個人が加入している組織によってそれぞれ番号が違い、転職や失業等を繰り返すとその都度番号が変わります。特に(協会管掌)健康保険は、以前社会保険庁が管轄していた時代の番号と、会社に割り振られていた『漢字1文字(社会保険事務所の管轄記号、現在は年金事務所の管轄番号)』『ひらがな2文字~3文字』という記号に、被保険者番号という組合せで記号番号が構成されていました。例えば『東 けへに 78』のようなものです。それが協会管掌となった時に、『東 けへに』の部分が『45310604』という8桁の数字に置き換わりました(78の部分は変わりません)。ところが現在でも、両方の記号番号・数字が併用されています。

 介護保険は国民全員40歳以上65歳未満が第2号被保険者、65歳以上が第1号被保険者と言っていて、保険料も徴収されていますが、介護保険を使わない限り番号が付きません。

 雇用保険は、雇用保険の適用事業(原則として会社)に初めて勤め出したら、4桁+6桁+1桁の11桁の番号が割り振られます。この番号は同じ会社等に勤めている間は勿論同じ番号ですが、転職してもそのまま番号が継続します。しかし、結婚・出産・病気その他の理由による長期の失業等でその番号を使用しない期間が7年を経過しますと、その番号はその本人の番号でなくなり、次に就職等をした時は新しい番号が割り振られます。ですから従来持っていた雇用保険番号は、違う人に割り振られる可能性があります。

健康保険の被扶養者の取扱い

 健康保険(原則として協会管掌健康保険)の被扶養者になるためには、被扶養者になれる範囲内でなければなりません。

被扶養者は、

① 生計維持関係があれば同一世帯でなくても良い者

② 生計維持関係と同一世帯に属している必要がある者

の2種類があります。

 生計維持とは、被保険者の収入によってその者の生計が成り立っていることを言い、この場合必ずしも被保険者と一緒に生活していなくても構いません。同一世帯とは、同居して家計を共にしている状態のことを言います。

 ① 生計維持関係のみ

 直系尊属(父母・祖父母・曾祖父母‥‥)、被保険者の    配偶者、子、孫、被保険者の弟妹

 ② 生計維持関係+同一世帯

   ア.被保険者の三親等内の親族で①以外の者、

   イ.被保険者の配偶者であって届出をしていないが事実上婚姻関係と同様    の事情にある者の父母及び子

   ウ.イの配偶者の死亡後におけるその父母及び子

 被扶養者に収入がある場合の認定は、原則として、被保険者と同一世帯に属している場合は、被扶養者の年間収入が130万円未満(60歳以上又は障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者は180万円未満)であって、かつ、被保険者の被保険者の年間収入の2分の1未満です

 ただし、2分の1未満でなくても130万円未満(上記カッコ書きの場合180万円未満)で、かつ、被保険者の収入を上回らなければその世帯の生計の状態を総合的に勘案して、当該被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認められる場合は被扶養者になる場合もあります。

 

被保険者と同一世帯に属していない場合は、年間収入が130万円未満(60歳以上又は障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者は180万円未満)であって、かつ、被保険者からの援助による収入額より少なす場合には、原則として被扶養者に該当することになります。

 

 添付書類は、原則として被保険者と世帯が同じかどうかは住民票により判断され、収入については市町村の発行する課税証明書(非課税証明書)により判断されます。協会健保の場合は、その確認を事業主が行うこととされていて、健康保険協会に添付書類の提出は求められませんが、被扶養者届にその旨の記入が必要になります。

 健保組合によっては、上記書類の提出を義務付けているところもあります。

 

 また、退職した場合の失業給付も収入とみなされ、失業する前までの所得と失業給付の額との合計額が130万円(上記カッコ書きの場合180万円未満) を超える場合は被扶養者となれません。

健康保険の被扶養者の取扱い

 健康保険(原則として協会管掌健康保険)の被扶養者になるためには、被扶養者になれる範囲内でなければなりません。

被扶養者は、

① 生計維持関係があれば同一世帯でなくても良い者

② 生計維持関係と同一世帯に属している必要がある者

の2種類があります。

 生計維持とは、被保険者の収入によってその者の生計が成り立っていることを言い、この場合必ずしも被保険者と一緒に生活していなくても構いません。

 同一世帯とは、同居して家計を共にしている状態のことを言います。

 

 ① 生計維持関係のみ

   直系尊属(父母・祖父母・曾祖父母‥‥)、被保険者の配偶者、子、孫、被保険者の弟妹

 

 ② 生計維持関係+同一世帯

   ア.被保険者の三親等内の親族で①以外の者、

イ.被保険者の配偶者であって届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者の父母及び子

   ウ.イの配偶者の死亡後におけるその父母及び子

 

 被扶養者に収入がある場合の認定は、原則として、被保険者と同一世帯に属している場合は、被扶養者の年間収入が130万円未満(60歳以上又は障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者は180万円未満)であって、かつ、被保険者の被保険者の年間収入の2分の1未満です

 ただし、2分の1未満でなくても130万円未満(上記カッコ書きの場合180万円未満)で、かつ、被保険者の収入を上回らなければその世帯の生計の状態を総合的に勘案して、当該被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認められる場合は被扶養者になる場合もあります。

 

 被保険者と同一世帯に属していない場合は、年間収入が130万円未満(60歳以上又は障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者は180万円未満)であって、かつ、被保険者からの援助による収入額より少なす場合には、原則として被扶養者に該当することになります。

 

 添付書類は、原則として被保険者と世帯が同じかどうかは住民票により判断され、収入については市町村の発行する課税証明書(非課税証明書)により判断されます。協会健保の場合は、その確認を事業主が行うこととされていて、健康保険協会に添付書類の提出は求められませんが、被扶養者届にその旨の記入が必要になります。

健保組合によっては、上記書類の提出を義務付けているところもあります。

 

 また、退職した場合の失業給付も収入とみなされ、失業する前までの所得と失業給付の額との合計額が130万円(上記カッコ書きの場合180万円未満) を超える場合は被扶養者となれません。